11/22/2010

人間国宝・福田喜重さん

Kimono_01

人間国宝の人と、会えた。

場所は、帝国ホテル。

男のきものブームを作った、銀座もとじの、30周年パーティ。FM番組をとおして10年来のお付き合いがあるのでメディアご招待いただいたけれど、8割がたが高級な和服をまとった男女。出版社の皆様もしっかり和服姿。
ひときわオーラが放たれているのは、女優の皆様。あでやかで、本当に素敵。

まずい。アトリエから駆け付けたから、黒のニットしかも爪には墨が・・・。
端っこでワインでも飲んでいよう、と歩きだしたら、美人和服スタイリストのAさんに声をかけられる。美しい。しかし人気者の彼女は、出版関係のご婦人たちに取り囲まれてしまった。

しばし、ひとりワイン。

その時、目に留まったのが なんと! 刺繍では初めての重要無形文化財保持者(人間国宝)福田喜重氏、その人だった。こんなチャンス、二度とない!!と思ったら、小走りになっていた。おいしそうな料理も、お酒も、すべて飛ばして。

人間国宝の彼を、みな、遠巻きにしていたので、すかざず声をかけた。「福田先生!お初にお目にかかります、天遊です!」一面識もないのだが、しかたない。最近ネットで集めていた先生のコメントで、感動したこと、共鳴したことなど一気に話すと、先生ものって御機嫌で話だしてくださった。輪が広がり、遠巻きにしていた人たちも集まってきて、miniトークショーになっちゃった。

「帯は理性、きものは情緒」

着物はね、来た人が美しく見えなきゃいけない。主張しちゃいけないんですよ。
着物をまとう体のほうが、美しい。というようなことを取材の後にワイン飲みながら言っちゃったら、それだけが取り上げられちゃってねぇ、伸介さんの番組に出た時もいわれちゃったよ(笑)

でもね、着るひと心で繋がれるよう、ひと針、ひと針、刺すんですよ。
呼吸するようにね。

さすがです、そのお言葉。

伝統ということについても、本当にいいお話をしてくださった。
「伝統は守るものではなく、生かすもの」。

そう、それでいいんですよね、先生!
なんだか嬉しくて、ワインで乾杯させていただいた。

(とある記事から)
「福田は、文様と同時に余白を縫い取っているといってもよい。彼の創作の美学が「余白の美」にあるといわれる所以である。重要なのはそれらの協調であり、最終的に善し悪しを左右するのは配色である。その最善の取り合わせを具現化するために、過去35年間の研究で、40万色以上の糸の見本を蓄積しているという。」

人間国宝になる人は、やはり、すごい。深い。
日本には、こんなすごい財産があるんだ!!

出会いに感謝。

 

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